進学 

大学等への進学を希望する場合は、十分な目的意識をもって学校を検討する必要があります。大学を卒業して多くの資格を得たとしても、就職先が用意されているわけではありません。事前準備として、授業における支援体制や通学を含めた環境確認、また将来希望する仕事に就けるカリキュラムなのかを、オープンキャンパスに参加するなど十分に調べた上で進学先を選ぶことが大切になります。以下に、高等部普通科、保健理療科卒業以降の視覚障害者の主な進学先を紹介します。
 

一般大学
同朋大学や日本福祉大学などのAO(総合型選抜)入試や、障害者を対象とした試験、また学校推薦で受験する生徒が中心になり、通常の入試枠で受験する視覚障害者の割合は多くありません。学部の選択は希望により様々で、卒業後は一般企業や公務員への就職を目指します。

筑波技術大学
茨城県つくば市にある、日本で唯一の視覚・聴覚障害者のための4年制大学です。一般の大学に比べて情報保障等の支援が充実しています。視覚障害者を対象とした保健科学部は、保健学科と情報システム学科で構成されており、理療業や医療業、またIT関連会社等への就職を目指します。

筑波大学(理療科教員養成施設)
東京都文京区にある、理療科教員の免許が取得できる専門施設です。盲学校専攻科の修了(見込みを含む)者が受験でき、2年間の課程で学びます。入学試験は一般受験と学校推薦があります。卒業後は各都道府県や私立学校の教員採用試験を経て理療科教員を目指します。

筑波大学附属視覚特別支援学校高等部専攻科
東京都文京区にある高等部専攻科です。3年課程に、しんきゅう手技療法科と理学療法科があり、2年課程に音楽科があります。卒業時の就職支援は関東圏が中心になります。また、筑波大学の理療科教員養成施設を目指す生徒も多くいます。
 

  一般就労(障害者雇用) 

障害に関わらず誰でも働くことが理想の社会ですが、企業の障害者雇用枠が拡大されたとはいえ現実には難しい状況があります。特に一般社会における視覚障害者の認識がまだ十分でない現在、求職活動をしない状況で、企業側から盲学校宛てに求人票(※)が届くことはありません。そのため、就職が可能だと考えられる企業を、個々の希望や意向に沿いながら職場開拓をする必要があります。障害者雇用においても、就職するためには業種別の資質が強く求められます。
 障害者雇用の業種に関しては、特例子会社(※)を含め、製造業、清掃業、小売業を中心に様々であり、雇用形態としては嘱託社員や契約社員、パートタイム等の非正規雇用が多い状況です。
 本校が就職の支援をする場合、ハローワークを通じた正式な障害者雇用を基本としており、健常者と同じく愛知県の最低賃金(令和5年4月現在、1時間:986円)が適用されます。ただし、就労後に労働能力が著しく低下した場合の最低賃金の減額特例など、例外的に最低賃金を下回るケースもあります。
 民間企業の障害者法定雇用率(法律により義務付けられた障害のある雇用者の割合)が、2021年3月にそれまでの2.2%から2.3%に変更され、今後2026年度までに段階的に2.7%に引き上げる方針が厚生労働省より2023年1月に発表されました。そのような施策の影響もあり、近年は障害者雇用として、採用試験や実習などにチャレンジさせていただける企業が少しずつ増えています。 
※求人票、特例子会社については巻末で解説

 

 トップページに戻る  進路指導に戻る